2014-01-01から1年間の記事一覧

スキゾ・エヴァンゲリオンはパラノと姉妹本です

先日竹熊健太郎さんから久しぶりにメールをもらって、最近どうしているのかなと思って調べていたら、「スキゾ・エヴァンゲリオン」の電子書籍版の予約受付がもう始まっているのを知りました。契約は交わしてあったのですが、なんか先のことだと思っていたの…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟(7)

7 石牟礼道子は、水俣についての作品のなかで、住民の悲劇について「文字のいらない世界と文字の世界との衝突」として捉え、いかに水俣病の被害者とチッソ側との交渉がすれ違ったものになったかについて書いている。 これは今回の原発事故でも、本質的な問…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟(6)

6 福島県伊達郡川俣町の山木屋地区を、渡辺はま子さんの家を探して走った。2013年3月9日。朝。 今日は計画的避難区域に取材に行くと言うと、妻は汚濁を見る強い視線で 「靴の土は、払ってきてね」 と言った。日立市にある僕の家では、高校生の息子を育てて…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟(5)

5 もう一人の精神科医が、南相馬の雲雀ケ丘病院で働く堀有伸先生であった。 堀先生も末田先生と同様に、はま子さんのアパートでの被害妄想体験に着目した。 「この地域の高齢の方の土地との結びつき、一体感というのは、都市部とは全く違います。だからそこ…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟(4)

4 広田弁護士の事務所は、いわき駅近くにある、赤みがかった色の屋根のかわいらしい平屋建ての家であった。人気の法律事務所であるらしく相談者が次から次へとやってくる。待合室には表彰状が飾ってあり、その多くは廃棄物処理処分施設の建設に反対する住民…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟(3)

3 2012年11月20日午後1時20分、福島地裁一号法廷。 平成24(ワ)第102というのが、渡辺幹夫さんが起こした裁判の名前である。裁判の取材に行くといつもへんてこだなと思うのであるが、これはこれなりに裁判所的な合理性があるのであろう。今日はその、第2…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟(2)

2 福島第一原発の事故以降、原子力事故の引き起こすこころの被害について取材している。原発事故の引き起こす恐怖や、避難のストレスで苦しむ人、命を落とす人が後を絶たない。 東京新聞は原発事故の避難やストレスによる体調悪化で死亡したケースを「原発…

核という呪い ブログ版 焼身自殺死訴訟

先日、福島の原発事故後に焼身自殺をした渡辺はま子さんの地裁判決が下り、裁判所は自殺と原発事故の因果関係を認め、原告側が勝訴した。画期的な判決であった。 昨年原告の渡辺さんのインタビューを行ったのだがボツになってパソコンの肥やしになっていたの…

核という呪い ブログ版(7)(8)

(7) 不思議なことはほかにもたくさんあった。たとえば、一番大きな症状が出ているのは臨界を終息させるために現場で作業したJCO社員のはずであった。しかし彼らは会社によって囲い込まれ、情報がまったく出てこない。 ある時、被害者の会にやってきた女性が…

核という呪い ブログ版(4)(5)(6)

(4) 僕の家では、まず母が倒れた。 九月三十日、事故当日の深夜三時頃から(正確には十月一日午前三時)、母は激しい下痢に襲われた。どういう感じだったかを後で聞いたら「お腹の中のものがすべて出ていってしまう感じ」と言った。この激しい下痢は五日…

核という呪い ブログ版(2)(3)

(2) 運が悪いことに、と言うべきだろうか、僕(筆者・大泉)の父と母が経営する小さな町工場が、JCOから約80メートルのところに建っていた。 事故がおきた1999年9月30日、僕は東京・墨田区の事務所にいた。この月はマンガ家の水木しげると3週間ほどオ…

核という呪い ブログ版

4月20日に、友人のノンフィクションライター・木村元彦とドキュメンタリーのVTRをつくり、BS11の「ONZE」という番組で放映してもらって、スタジオで元村有希子キャスターや二木啓孝さんと話しをした。「サリン事件から19年 元オウム信者たち…