オタクのこだわり 一人で作るということ
何年位前かな、竹熊さんのうちに遊びに行ったとき、彼がものすごく興奮して「新海誠って新しい才能が出てね、コンピュータが発達したせいで、一人でアニメ作っちゃうんだよ」と言っていたことがありました。正直非オタクの僕には、それが何で興奮に値するのかさっぱりわかりませんでした。だって一人で作ろうが10000人で作ろうがいいアニメはいいアニメだし、だめなのはだめじゃないですか。
2〜3日前たまたまこのことを思い出して、妻(オタク)に「何で竹熊さんあんなに興奮したんだろ」と聞いたんですよ。そしたら妻も興奮するんです。「だって一人でアニメ作れるなんて最高じゃないの。全部自分でできるのよ。あたしなんか一人で全員分の声優やりたいわよ。男の声優もやりたいのよ。そういうボイスチェンジャーできないかしら」
要するにありとあらゆる点で自分好みのアニメを、しかも人間関係に煩わされずに作れると。それがオタクのひとつの究極の夢みたいなんですね。なるほどねえ、と思いましたよ。
竹熊メモで『ザ・フロッグマンショー』について取り上げられていました。「談話室竹熊」では、そのビジネス的な背景に焦点が当てられていました。確かに費用というのはなにを作るにも重要な側面です。しかし作品を作るためには自発的な力がものすごく重要で、そういう意味では、こうした作品が増加している流れには、オタクの本質的な「一人で作りたい」という根源的な衝動があるのかな、という風に思いました。僕はオタクではないのでその辺がよくわかりません。良かったら誰か教えてください。