予言

白い人が黒い石を掘り起こす。

石は大きな鳥のようなものに入れられ、

我々と同じ顔を持つ人々の上に落とされて、

すべてを焼き尽くす。


これは今からおよそ120年前、今のカナダのグレートベア湖のほとり、ポートラジウムに住む先住民デネ族のシャーマン・アヤが残したビションによる予言です。それから半世紀ほどたってここからウランが採れることがわかり、ここで掘られたウランはマンハッタン計画のもと原爆の材料となり、エノラ・ゲイ号に乗せられて太平洋を超え、広島に落とされました。


ノストラダムスなんかよりよほどわかりよく予言が的中したわけで、面白いと思った僕はそのうち彼らのところに行こうと思っています。彼らがどんな生活を送っているのか。そしてそのどんな部分がこの予言を産み出したのか。そういうことに興味があります。もともと先住民のところに行って一緒に狩りをしたり釣りをしたりしながら取材するのは僕の趣味みたいなものですし、もうひとつは、彼らの文化、アニミズムオタク文化には深い共通性があると思っているので。


そんなわけで先日水木先生のところに行った時も、同好の志である先生にこの話をして、一緒に旅をしようと思っていました。マレーシアの先住民セノイ、メキシコのネイティブアメリカン、それからオーストラリアのアボリジニと、水木先生と楽しく先住民のところで遊んだことがあるからです。これらの旅で水木先生は妖怪を大量に捕獲し(精霊の木彫りとかお面とか)、日本に帰ってから妖怪画をたくさんを描かれました。ところが今回、先生は高齢のせいか記憶がだいぶ怪しくなっていて、僕を見ても名前が出てこないんですよ。85歳になられるのでやむをえないんですけどね。それでも、一緒にあちこち行った人間だという記憶はうっすらとあるようでした。もう一つは、去年84歳で妖怪を求めてニューギニアの奥地に行って(これもすごいですけど)高熱で倒れ、死にかけたそうなんです。それで、大好きだった先住民取材もやめにしていると。こんな話を聞かされたので、デネ族取材の件は持ちかけられませんでした。


水木先生が同行すれば金に困ることはないんですが、そんなわけで、この企画を買う人募集中。