妖鳥シレーヌの夢(つづき)

(昨日につづく)

そこは、巨大な地下神殿でした。といっても洋風のものではなく、和風で、杉かヒノキみたいなもので作られていて、全体的に白いイメージの部屋でした。その部屋は何千人も入れるような大きさで、正面に演壇のようなものがありました。


演壇に向かって左側に、巨大なシレーヌがとらえられていました。体長は20〜30メートルはあったでしょうか。映画版のデビルマンに出てきたような痩せ型ではなくて(笑)、頬の辺りとかはちょっとぽっちゃりしているんですが、これが神々しいまでに美しいんですね。


シレーヌの全身は透明な白さがたたえられていました。ちょっと皮膚が薄い感じですね。なので、上気した女性のように、頬とか、体のあちこちが朱に染まって、彼女の美しさを助長していました。


シレーヌは何か超自然的な力で封じられているらしく、うめき苦しみながらそこから逃れようと身もだえしていました。しかもあちこち傷つけられていました。その傷がほんのり朱に染まって、それがまた実に美しいわけです。同時に、もし彼女がそこから解き放たれたら、我々は皆殺しになるだろう、と思わせるほどの、禍々しいまでの強さを感じさせました。


僕は何人かの男性とその部屋を歩いているんですが、そのシレーヌは小さな分身を飛ばして神殿にいる人間に悪さをすることがあるらしく(死ぬようなことはないらしい)、びくびくして歩いていました。


というような夢でした。
綾波長門に見取られて死ぬというイメージで寝たら、夢に出てきたのがこれだったので驚いていまいました。以前「夢学修行」という連載をやっていたことがあって、その時各派の夢解釈をかじったことがあるのですが、この時思ったのは母性の暗黒面からのメッセージかなということでした。つまり、母性というのは僕を包むように穏やかな死に導いてくれるものでもあるのだけれど、同時にすべてを破壊するエネルギーにも満ちているわけですね。シレーヌの僕の中のイメージは驕慢であり、美しく、好戦的であり、血を好み、サディスティックな快楽に酔いしれ、そして誇り高い。このように書いていると、自分の中にもそういう一面を感じることがあり、なかなか興味深いです。


今出ている草思の原稿では、男性オタクの中にある女性性について論じています。

http://web.soshisha.com/archives/otaku/2007_1122.php

ユングは全体性ということを重視した人ですが、男性オタクが女性性を希求し、女性オタクが男性性を生きようとする有様には、そのどこかに全体化への力が働いているように思えます。